Q&A

 


.正社員で仕事をしながら不妊治療を続けています。

今度、採卵をするのですが仕事がなかなか休めないので、採卵後に職場へ向かおうと思っていますが、問題ないでしょうか?

.採卵時には局所麻酔を施します。術後、安静にする時間は2時間程度です。

体調が良ければお仕事に行って頂いても問題ありません。

しかし、おなかが痛くなったり、ごくまれに腹腔内出血もありますので、無理をしないようにしてください。

もし、日常生活に支障が出るような症状が出てきたら、すぐにご相談ください。


.なぜ、良い卵がたくさんあったとしても1個しか戻すことができないのでしょうか?もう高齢なので、少しでも早く妊娠したいのですが。

.日本産婦人科学会では、体外受精や顕微授精の胚移植時に戻す胚を基本的には1個としています。(特別な場合を除いて)

これは、妊娠を制限しているということではなく、母体と胎児の安全に配慮しているからです。仮に、多胎になってしまうと早産の発症率が高くなり、母子の負担が大きくなります。

さらに、こういった状況に対処できるような施設が周りにあるとは限りません。
また、出産後も多胎であれば母子ともに大変な思いをすることも多いでしょう。

そういった複数の観点から、多胎で生じるリスクは出来るだけ避けるべきだと言えます。

とにかく、母子ともに健康にあることが目的であるということです。

それから、2個胚があるということは、2回違う周期に移植できるチャンスです。一回でそれを移植してしまうということはそのチャンスをつぶすことになります。


.現在、フルタイムで仕事をしていて、病院は自宅や職場から少し離れたところにあります。

体外受精をするとなると、頻繁に病院へ通う必要があるそうですが、その代わりに自分で注射することもできると知りました。注射が苦手なので不安でいっぱいですが、注射は誰でもできるようになるのでしょうか?

.体外受精では、卵胞の発育のために毎日、注射をすることもあります。

そのため、通院にかかる時間や費用の負担も大きいため、患者さん自身で注射ができるように配慮している施設は多々あります。

自宅で注射する部位は、お腹が一般的です。お腹をつまんで注射してもらうのですが、もちろん、初めは看護師が事前に指導をしますので安心してください。方法がわからなければ、何度でも確認していただいて結構です。

使っているお薬の種類によっては、病院では理解したつもりだったけれど自宅に帰ったらわからなくなってしまったということのないように、製薬会社が手技を説明した動画を用意しているところもあります。

自己注射で使う針はとても細く、それほど痛くないと思います。慣れてしまえば、病院へ通う時間を節約することができるので非常に便利なものです。


.片側の卵管が閉塞しているのですが、このような場合は体外受精でなければ妊娠しないのでしょうか?

.卵子は排卵後に卵管采経由で卵管に入り、そこから少し先の卵管膨大部というところで精子と出会います。そのため、卵管に詰まりがあれば精子は進むことができず、受精することが難しくなります。

しかし、卵管は左右にあり、どちらの卵巣から排卵が行われるのかということはその月になってみないとわかりません。従って、閉塞している側の卵巣から排卵してしまうと自然妊娠や人工授精での成功は難しいのですが、反対側で排卵が起これば可能性はあります。

閉塞している側からの排卵もピックアップされるので可能性があります。ただ、閉塞した原因が重要で、クラミジアの場合は他方も悪くなっている可能性があるので、チェックしておく必要があります。

とにかくどちらかが通っていれば大丈夫で、治療はタイミング療法からスタートになります。


.凍結胚を使って移植するときに、アシステッドハッチングという方法があると説明を受けました。

胚に手を加えるのは怖い感じもするのですが、アシステッドハッチングすると本当に妊娠しやすくなるのでしょうか。

.アシステッドハッチングとは、硬くなった透明帯に穴を開けて着床を助ける方法です。

透明帯とは卵子を取り囲む重要な部分であり、胚を守る役割や精子の侵入後に他の精子が入ることを防ぐ役割を担っています。これが凍結することで硬くなってしまい、胚盤胞になっても中から胚が出てこられない場合があるのです。

アシステッドハッチングが有効だとされるのは、凍結胚のほか、高齢の方や良好胚を繰り返し移植しても着床しない場合などです。

その方法は、化学的および機械的方法などいくつかありますが、今はレーザーなどを用いて透明帯に穴を開ける方法が主流です。

透明帯自体には胚を守る役割しかないようなものなので、そこに穴を開けたとしても胚自体に影響はありません。


.主人が無精子症と診断されたのですが、精巣から精子を取り出すことができたので一人目を妊娠出産でき、いま授乳中です。

年齢も高いので、早めに二人目を考えています。

おそらく次も顕微授精になると思うのですが、やはり卒乳してからでなければ採卵や移植は難しいのでしょうか。

.授乳中はプロラクチンというホルモンが分泌されており、乳汁を分泌させるほか排卵を抑える働きをします。これは、次の妊娠を防ぐことで子宮や卵巣も含めて母親の体を休ませる目的もあります。

とはいえ、授乳中であっても自然妊娠することはありますので、卒乳は絶対条件ではありません。場合によっては、プロラクチン値が高いため薬に反応しないこともあります。

それよりも、授乳中の不妊治療で一番問題となるのが薬物の乳汁移行です。意外とみなさん知らない場合が多いのですが、妊娠中は良くても、授乳中に禁忌という薬は結構あります。そのため、当院ではまず卒乳をしてくださいとお話ししています。どうしても卒乳せずに不妊治療を行いたいという方には、自分自身が服用している薬をお子さんに飲ませると思いながら治療を受けてくださいと伝えています。

ですから、乳汁移行のことも考慮に入れて、不妊治療は卒乳してから再開したほうがいいと思います。


.先日、通っている病院で二段階胚移植を勧められました。これまで、状態のいい胚を何度か移植したのですが、なかなか妊娠しなかったのです。
初めて聞いた方法なので、説明を聞いても十分に理解できなかったので、二段階胚移植について詳しく教えてください。

.当院では行っていませんが、良好胚を何度か繰り返し移植したにも関わらず妊娠が成立しなかった場合、二段階胚移植という方法が取られることがあります。

通常の妊娠では、受精後に分裂を繰り返しながら子宮へと進んでいきます。そして胚盤胞にまで成長した時点で着床するのですが、この間に胚から子宮へとシグナルが送られていて、それによって子宮内の状態が整えられていくのです。

この方法を利用した方法が二段階胚移植であり、採卵の2、3日後に初期胚を移植して子宮へとシグナルを送り、さらに採卵から5、6日後に胚盤胞を移植します。着床率の上昇が期待できる反面、場合によってはどちらも着床して多胎になる可能性も含んでいます。

多胎になってしまうと、母子ともにリスクを抱えることになります。また、二段階胚移植を行うことで、2回あるチャンスが1回で終わってしまうという側面もあります。場合によっては、移植したにも関わらず多胎となり、流産してしまうこともあります。

そういった可能性も含めて不安に思われることがあれば、改めて説明を受け、納得してから治療に臨んだほうがいいと思われます。


.避妊をしなくなってから1年半ほど経過しているのですが、一向に授からず不安だったので、思い切って不妊治療施設へ行きました。
そこで私の検査をしてもらったのですが問題がなかったので、次に夫の精液検査をしてもらいました。すると、精子濃度2,000万/ml、運動率が30%と低く、とてもショックを受けました。
体外受精や顕微授精はまだ考えておらず、まずは人工授精からと思っていたのですがそれは難しいのでしょうか。

.確かに少し低めの値かもしれませんが、精子の運動率や数は当日のご主人の状態によっても大きく変わってきます。ストレスが多い、寝不足が続いている日などは数値が低く現れるものです。

そのため当院では、1回だけの検査で終わるのではなく、最低3回は検査を行っています。それまでの検査で状態が悪かったとしても、3回目で本当に良くなる方もいらっしゃいますので。実際に、2回の精液検査とも結果が芳しくなく、人工授精は難しいような方であっても、いざ人工授精をしてみたら正常値だったというケースも結構あります。

しかし、人工授精はひと月に1回のペースなので、次回まで期間が空いてしまいます。そのため、ずっと状態が悪ければ泌尿器科の受診を勧めたり、顕微授精にしましょうとお話ししています。

あとは、人工授精では洗浄精子をつくった時にどれくらい集まるかという、処理後の精子能力や状態もかなり重要になってきます。

元々の精子数が少なければ、処理した精子数の30%となるとぐっと減ってしまいますので次のステップを考えた方が良いかと思います。


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